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秋桜(コスモス)
♪♪
薄紅のコスモスが秋の日の
何気ない陽だまりに揺れている。
このごろ、涙もろくなった母が庭先でひとつ咳をする。
縁側でアルバムを開いては、私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす。
独り言みたいな小さな声で。
こんな小春日和の穏やかな日は
貴女の優しさがしみてくる。
明日、嫁ぐ私に苦労はしても笑い話に時が変えるよ
心配いらないと笑った。♪♪
この歌は、明日嫁ごうとしている娘の心を歌ったものであるが
この歌が身に沁みて心に響いてきたのは
娘を嫁にやった秋のことであった。
私は、3人の姉を遠くに嫁にやった母が
末のお前だけでも側に居てくれと言う
母の手紙を無視して
東京に住む学生時代からの友人J氏と結婚した。
結婚式も挙げなかった。
娘時代は、自分の事ばかりで母のことなど
思いやるゆとりなど無かった。
そんな、娘時代を経、母となり娘を嫁がせて初めて
この歌の持つ重みが私の心に落ちてきたようだ。
しかし、この歌が、娘でも母でもない一人の男性
(さだ・まさし氏)の手によるものだと言うことに
今更ながらに驚く。
さだ・まさし氏は天才です。