茨木のりこの詩集より
(略)
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人と思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちていくのを
陰そうとしても隠せなくなった人を何人もみました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
全てのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと、、、
(略)
自分の感受性に傷つくばかりで
年老いたオタクの私が
初めてお前はそのままでいいのだと
勇気づけられた詩とのめぐり合いでした。
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