[僕はどうしてこんな風なんだろう?せめて僕が金の洋服や
サファイヤの瞳を持っていたらなあ。」
「えっ?」
太陽は突然伝六の言う言葉の意味が解からないと言ったように
そのキラキラ光る瞳で彼を見つめました。
「ツバメさんが南の国に帰る前の晩、僕の肩に止まって
海の向こうの幸せの王子様の話をしてくれました。」
「ああ、ツバメに頼んで貧しい人たちに自分の体を分け与えた
あの王子様の銅像のお話だね。」 ※ The Happy Prince
1888年 オスカー・ワイルド
「はい、もし僕がそんな風だったら、僕だって何べんでも僕の体を
貧しい人たちに分け与えるのになぁ〜。」
「君は今の自分が嫌いなんだね?」
太陽は深いため息をもらすと、悲しそうな微笑を浮かべて
伝六を見やりました。
それから静かにうなずくと今まさに山に沈もうとしている最後の光の
ひと雫をポトリと伝六の足もとに落としたのです。
するとどうでしょう!
伝六はみるみる赤い光に包まれて
炎となって燃え上がりました。
続く
その2