その、水神様の裏手の山の中に
母の実家はあった。
ここから分け入る山道は
両側から木の枝が覆い被さるような
細い道で、日傘はもう不要になる。
母はそこで、道すがらづつと私の頭の上で回り続けていた
日傘をとじた。
葡萄の刺繍の施された白い日傘を。

続く