広場の芝生の上で
お弁当を食べているうちに
先客の元気なご婦人2人組が森に消え
後は、人の声どころか鳥の声すら
聞こえません。

イノシシ除けのフェンスが
張り巡らされた広場を森に出るには
針金で縛られた門を開けねばなりません。
そして出た後また、
自分で針金を縛っておくのです。
意外とイジィーな森の門です。


要するにこの森では
人と獣たちの境はこの程度と云う事で
お互いを尊重しつつの憩いの場です。


春にはあそこに木イチゴの花が咲いていた、とか
あの谷あいのあの梢の下は二輪草の花がいっぱいだったとか、
まるで、精通した森の住人みたいな事を言いながら、歩いていると、
時折、谷を吹き上げる冷やかな風に乗って、低いモーター音が聞こえてきます。
冬、12月から3月まで閉ざされる森のための様々なメンテナンスが
森の守り手によって、あちらこちらに施されている模様です。

09−県民の森「秋」

半年ぶりの森は
切り倒された木が発する香りと
枯れ葉の醸し出す香りに包まれていて
それから、少し西に傾いた
日差しが明るく差し込んでいました。


季節としては
紅葉が始まりかけたところで
ひたすらに紅葉し
ひたすらに落葉する
晩秋の凄絶な趣とは
少し違います。


まあ、それも後2週間ほどの事とは
思うのですが、
ふと、歩みを止めた時がみせる
笑窪のような陽だまりの中で
春の日や来し方の夏を
振り返るのも良いものです。