今年、長雨の森で
幾つものキノコたちに出会った。
「不思議の国のアリス」でも
不用意に口にすると
体が大きくなったり小さくなったり
匙加減には苦労する代物だった。

お腹をこわしたり笑い狂ったり
失明したり憤死したり
幻覚を見せたり
森に彷徨いこんだ者を異次元の世界に
引きずりこんだり。

人は時にもののけの気配に驚きもするが
キノコに驚く人はいない。

しかしまあ、彼らに森で出会ったら
恭しくお辞儀をして
足音忍ばせて通り過ぎるのが肝心かとも、、、。

夏の出会いーキノコ編

かって、故郷の裏山を
彷徨っていた頃は
食べられるキノコの幾つかは
知っていたような気がする。

今、森で出会うキノコたちは
およそ食べ物には縁遠い
油断の出来ない妖精たちだ。

妖精はロマンチックではあるが
付き合い方によっては
命取りになる。