07紫陽花ー1
窓打つ雨の音を
聴きながら
六月の夜の
帳(とばり)の中に
眠れないまま
小さな灯かりを
灯しています。
「どうせ眠れないなら、謎謎をひとつ解いてごらんよ。」
暗い夜の空から 誰かの声がひそりと落ちてくる。
「紫陽花はどうして色が変わるの?」
「紫陽花の色が何故変化するかだなんて
ずいぶん、子供地味た謎謎だ。」
「真夜中の孤独な魂には子供地味たも、大人地味たも、
年寄り地味たも有りはしないさ。」
手のひらの中で卵形の小さなラジオが
アメリカのスローバラードを歌っている。