一つの季節が私の知らないところで終わった。
白い天井と仕切られたカーテンと
絶え間ない点滴の滴りを見上げているうちに
八重桜は五月の空に蝶の様に舞い散り、
大手鞠も大地を雪のように染めて散ってしまった。
鈴蘭も鯛つり草もイカリ草もおきな草も
みーんな庭から消えていた。
途切れてしまった季節と時間を
どうつなぎ合わせたらよいものかと
光の中に立って見るものの
眩しすぎる夏の光はただ、私の足をもつれさせるばかりです。
飛べない夏が風うさぎにあるなんて
思ってもみなかった。
遠い空でホトトギスが鳴いている。
ほら、プランタンはピンクのゼラニュームが満開だろう?
ってJ氏が窓辺を指し示してくれるが
何故かみんな心の表面を滑り降りていくばかり。
いつかきっと何かがきっと
そのうち私の心に季節を運んで来るものが
現れるだろうけれど。