青梅の街ー1

噂には聞いていたけれど
成程、これが青梅の街。
古い映画の看板と猫の置物が目につく。
昭和をレトロと呼ぶには、昭和そのものを喘いで来た私には少しばかり抵抗があります。
こうした暮らしから一歩も飛び出せないままに、これをレトロと呼んでしまうと
私の人生が生きたままセピア色に色あせていってしまう気がします。


昭和をレトロなどと呼んで面白がる世代は、
たぶん我々よりももっとずっと若い世代なのだろう。

トロトロと走る車のCDが繰り返し歌っているのはホークソングの「岬めぐり」
傷ついた心を海に沈めようとして、岬めぐりのバスに乗っている青年の歌。

傷ついた心を海に沈めたら町に帰ろうと歌うこの青年は町が故郷なのだろうかと
問う私に、いや、町で生まれ育ったものが街に帰ろうなどとは歌わない。と、J氏。


成程、人は生まれた時代や生まれた土地でそれぞれの感性を育んで
生きているものらしい。