桜草
ご近所のC夫人が毎年3月3日のお雛様になると
桃の花のかわりに一鉢の可憐な桜草を持ってきて下さった。
そんなことが、何年か続いた春の終わり頃
我が家の空いた鉢という鉢に、銀色緑の苔のようなものが
びっしりと生えた。
それを苔ではなく桜草の芽だと見破ったのはJ氏であった。
水さえきらさなければ、桜草はゆっくりと確実に成長し
日当たりの良い所では春を待たずに花を咲かせてくれる。
だが、油断してはいけない。
ある日、ふっと全ての桜草が掻き消えるように
消えてしまう事があるとの事。(C夫人談)