霧の二本木峠
霧に包まれて随分と長い事いろいろな事を考えた。
弱った生命体にとって深い霧はわけもなく有り難かった。
くもの巣に宿った露をじっと見ていたら
昔、取り壊し寸前の古い木造の校舎のガラス窓に
張り巡らされた金網に伝う雨を思い出した。
薄暗い教室の片隅で流れの法則を探していた私を。
それから思いはふらりと流れて、大学生時代。
駅のホームで帰りの電車を待っていると
夕闇を待って輝き始めるネオン。
SONY×4。
上から順に、次は下から。
結局、4年間どのような法則の繰り返しなのか
解からずじまいだった。
今になってふと、あれはカオスではなかったのかと
気づく。
人はカオスに法則性を持たせるために生きている様な所が
あるから、
それもこれも青春を生きたと言えない事もない。