かなり昔、蓮の花の開く時の音を聞くという企画の
ラジオを聞いたことがあります。
朝霧流れる静かな早朝、当時としては最先端の集音装置を総動員して
蓮が開くとき発するポンという音を確認するのだという番組を放送していました。
さて、そこまで記憶に有りながら、肝心の音の記憶が残っていないところを
みますと、あれは企画倒れだったのでしょうか。
それとも、私の記憶が幽霊のように足の無いものになってしまっているのか、、、。
まあ、しかしどちらにせよ蓮があの丸い蕾を開く時、軽やかに朝のしじまを破って
「ポン」という音を立てて欲しいという気持はぬぐい切れません。
蓮の花自体が音を立てなくとも私が心の中で「ポン」と花開かせるのでも
好いかも知れません。
蓮が地中深く育くんだものを、水上に首をもたげ花開く時、
蓮はきっと何かを具現するに違いないのです。
その、出会えるかもしれない大事な一期一会に、
心に活を入れるための「ポン」なのですから。

行田の古代蓮