車を降りて檜の山に
足を踏み入れたとたん
全身に強い冷気を感じる。
冷気なのか霊気なのか、、、。
ともかく、御山に暖かく迎えられて
いない事だけは確かだ。
かといって強い拒絶でも無さそうだ。
多分、求められているのは
御山に対する
敬虔な心なのだろう。

檜の枝を渡る風の音が
時折、山に唸りをもたらし
鳥の声が
深閑とした山の中に
木霊する。

急勾配の坂道を下りて
頭上を振り仰ぐと
檜の真っ直ぐな幹の間から
洩れ来る
太陽の光が
私の目を射抜く。

「日本水」汲み行