遠花火
打ち上げの音と共に 頭上で炸裂する花火よりも 屋根裏の部屋から見える 遠花火が好き。 遠い街の屋根越しに 光海月のように浮かんでは消える、 音もしない遠花火。 明かりを消した部屋のベットの上 膝頭をかかえ、足元に忍び寄る猫をかき寄せて 階下に用意した飲み物の氷が溶けるのを 少し気にしながら 風の止まった蒸し暑さの中 今度また何時上がるとも知れない、 まのびした遠花火を待つ。