あまりにも上手に隠れてしまったから
もういいよーって言ってもだあれも探しになんか来てくれない
森の中。
あの子は森で神隠しにあったのだと人は言うだろう。
今更に、出てはいけない自尊心と
日暮れの森に触りたくない薄情さが
一人の子供を森に置き去りにする。
まあそれも良かろう。
森には森の時が流れる。
孤独だろうなんて安っぽい言葉を選んではくれるな。
女風情が、田舎もの風情が、貧乏人風情が
病人風情が、
自尊心などを持った
その罪の深さに神隠しにあったのだと
人は噂し納得して安心する。
まあそれも良かろう。
お互いの平和の為に。
森の木々の隙間から零れ来る
光の奏でる旋律が
子供を森に解き放つ。
光の比重のバランスがただ、時を刻む森の中で
子供は透明な風うさぎになる。
風うさぎ 飛ぶ。
森の中で