鎌北湖の初秋
湖は山を水面(みなも)に映し
虚と実とを存在させる。
私の心は
虚実を入れて
ここに立っている。
(風景と心象風景と、、、)
私の全てを受け止めて
もう一つの目が
何処かに
存在するのだろうか。
私を離れる事が出来ないので
今、私はそれを観ることが
できない。
鏡のような水面に一筋の銀の糸を引くように
細波(さざなみ)をたてて横切るのは
一羽のアヒル。
遠く点在する釣り人から釣り人へ渡り歩く。
釣り人は側らの箱から
釣り用の餌をアヒルに投げ与える。
もうそろそろ夕暮れて
人は家に帰らなければ
ならないから。
エナガの集団が
頭上の桜の枝に舞い降りて
何やら騒ぎ出す。
もめごとが起きたらしい。
病葉(わくらば)が水面に散り
幾つかの波紋を生じさせる。